離婚訴訟等における国際裁判管轄


はじめに

日本人が外国人に居住する配偶者と離婚する場合、ともに日本人であるが外国に居住する夫婦の離婚などの際、日本の裁判所に管轄権があるのか否か、これまで明文規定はなかった。

従前、判例は、原則として被告の住所地がある国家に裁判管轄権があるとし、「原告が遺棄された場合、被告が行方不明である場合その他これに準ずる場合」等に例外的に日本の裁判所に管轄権を認めていた(最高裁昭和39年3月25日)。しかし、例外にあたるケースについては必ずしも明確ではなかった。

今般法改正によりこの点についてのルールが明確化され、2019年4月1日から施行される。以下、改正法の内容について説明する。

人事訴訟法改正

人事訴訟3条の2

人事に関する訴えは、次の各号のいずれかに該当するときは、日本の裁判所に提起することができる。

一 身分関係の当事者の一方に対する訴えであって、当該当事者の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。

二  身分関係の当事者の双方に対する訴えであって、その一方又は双方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき。

三 身分関係の当事者の一方からの訴えであって、他の一方がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。

四 身分関係の当事者の双方が死亡し、その一方又は双方がその死亡の時に日本国内に住所を有していたとき。

五 身分関係の当事者の双方が日本の国籍を有するとき(その一方又は双方がその死亡の時に日本の国籍を有していたときを含む。)。

六 日本国内に住所がある身分関係の当事者の一方からの訴えであって、当該身分関係の当事者が最後の共通の住所を日本国内に有していたとき。

七 日本国内に住所がある身分関係の当事者の一方からの訴えであって、他の一方が行方不明であるとき、他の一方の住所がある国においてされた当該訴えに係る身分関係と同一の身分関係についての訴えに係る確定した判決が 日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき

まとめ

 上記のうち、離婚訴訟・婚姻取消訴訟に関係するのは、1号、3号、5号、6号、7号である。
 結局、被告の住所地を管轄する国家に裁判権があることが原則であるが、これらに該当する場合は日本の裁判所にも管轄権が認められることとなる。整理すると以下のようになる。

夫婦双方が日本国籍を有する場合

  居住場所を問わず認められる(5号)。

いずれか一方が日本国籍以外の場合

①外国に居住する側(日本人・外国人問わない)が原告となる場合

  • 配偶者が日本に居住する場合(1項)
  • (既に死亡している)配偶者が死亡の時に日本で居住していた場合(3号)

②日本に居住する側(日本人・外国人問わない)が原告の場合

  • 配偶者も日本に居住している場合(1号)
  • 配偶者の最後の共通の住所地が日本であった場合(3号、6号)
      (配偶者が死亡、行方不明、行方は判明しているが外国に居住している場合、等)
  • 日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があると認められるとき(7号)。

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