家事事件に関する解決事例②(不倫相手に対する損害賠償請求)
妻と不倫をした男性に対して慰謝料請求をするも、男性が不倫の事実を否定したケース。
事例の概要
依頼者のAさんは、妻と10年以上結婚生活を送っていたが、妻が男性Bと不倫を行っているのではないかと疑い、弁護士に相談に訪れた。
解決経過
1.不貞の証拠の確保
妻が不貞を行っているかどうかを確認するため、探偵に依頼し調査をしたところ、妻が男性Bとラブホテルに入るところが確認できた。
2.男性への慰謝料請求
そこで、男性Bに対して慰謝料請求を行ったところ、男性Bは不貞の事実を否定した。そのため、Bを相手に慰謝料請求の裁判を起こした。Bは、Aさんとラブホテルに入ったことは認めながら、不倫はしていないと主張し、争った。Bは、ラブホテルが娯楽施設であって性的関係を持つ施設ではない、などと独自の主張をしてきた。
3.全面勝訴
BとAさんの妻が法廷に立ち、従前の主張を繰り返したが、裁判所はBと妻の証言が虚偽であると判断し、当方の慰謝料請求を認めた。もっとも、一審で十分な額の慰謝料ではなかったため、高等裁判所に控訴し、Bが裁判でも不合理な主張をしていることを慰謝料の増額事情として主張したところ、控訴審では一審判決の2倍の金額の支払いを命ずる判決が言い渡された。
コメント
判決は、不貞相手がラブホテルに入った事実が証拠で立証できる場合、「特段の事情」がない限り、不貞があったものと推定されると判断していますが、この「特段の事情」を立証することは極めて困難であり、事実上、相手方がラブホテルに入ったことさえ立証できれば不貞の事実を立証できる可能性が極めて高いと思われます。
また、本件高裁判決は、訴訟で虚偽の主張をする相手方の態度を考慮して慰謝料を増額した比較的珍しいケースです。