刑事事件の解決例③(傷害罪、不起訴)
暴行事件の被疑者として逮捕されたものの、証拠不十分として早期に釈放されたケース。
事例の概要
Aさんは、ある飲食店で勤務していたが、その飲食店の中で店員と客との間で暴力事件があった。Aさんは、暴力事件があった日、たまたま体調不良によって休んでいたが、他の店員と一緒に暴力をふるったとして逮捕された。
解決経過
1.警察の取調べ
警察は、Aさんが逮捕されてから、毎日取調べを行い、Aさんに暴力事件への関与を認めさせようとしていた。弁護人は、Aさんが自白をしてしまわないように、連日面会を行い、家族の励ましの言葉を伝えるなどした。
2.証拠の収集
また、Aさんが逮捕された根拠となったのは、①被害者の目撃供述、②タイムカード(Aさんが事件当時店内にいたこととなっている)であったが、①については事件当時のAさんの髪形と被害者の目撃供述が食い違うことを立証し、②についてはAさんのタイムカードを他の店員が打刻したことを立証した。
3.釈放
結果、Aさんは嫌疑不十分として釈放された。
コメント
警察は、被疑者を逮捕した場合、毎日のように取調べを行って事実を認めさせようとします。被疑者が誤った供述調書を作成しないようにすることが、弁護人の最初の仕事となってきます。今回のケースでは、被疑者は少年で、警察の影響を強く受けやすいので、弁護人としても、成人の場合と比較して細心の注意を払う必要があります。
また、捜査段階では、検察側が有罪の根拠としている証拠を崩す証拠を入手し、検察官に提示することも重要です。もっとも、早い段階で手持ちの証拠を検察官に提示すると証拠をつぶされてしまう危険性があるため、捜査の進展を見ながら適切なタイミングで証拠を提出する必要があります。